はじめに:なぜ譲れない条件を知ることが重要か
相手との価値観のズレに気づかず交際を進めた結果、「やっぱりこれは無理!」と別れを選ぶのは、その相手を大切に思えば思うほど、悲しいことです。
こうしたミスマッチは時間や心の負担となり、時には大きな後悔につながります。以前の記事では、子供の有無や住む場所、仕事観やお金の価値観といった主要なDealbreakerについて紹介しました。
Dealbreakerとは、関係を続ける上で絶対に譲れない条件のこと。今回は、こだわるかどうか個人差が大きく、つい見落としがちな「二次的な条件」に焦点を当てます。これらを事前に考えることで、理想のパートナーとの長続きする関係を築く第一歩を踏み出しましょう。

見落としがちな条件を理解する
二次的な譲れない条件とは?
譲れない条件には、子供や住む場所のような誰もが重要視するものと、人によって重要度が異なるものがあります。ここでは後者を「二次的な譲れない条件」と呼び、たとえばペットの有無や家事分担の考え方など、人によっては「なんでもよくない?合わせるよ」という条件がこれに該当します。
ピュー研究所の調査(2020年)によると、価値観の一致はカップルの関係満足度を大きく左右します。また、今まで考えたことがなかっただけで、異なる考えの人と出会って初めて自分の価値観に気づくケースも少なくありません。
自己理解の重要性
自分の譲れない条件を知るには、まず自分自身を深く理解する必要があります。
たとえば、ペットについて考えてみましょう。
あなたはこれまで犬を飼ったことがなく、ペットの話題を深く考えたこともなかったとします。ある日、相手から「大型犬と一緒に暮らしたい!」と言われたらどう感じますか?「犬はかわいいけれど、毎日の散歩、抜け毛、家具の傷、住める家の制約、ペットの食費や医療費、将来の死別の悲しみ…」と、初めて自分の考えに気づくかもしれません。
こうした気づきを得るには、この記事で紹介する項目を参考に、自分の受け入れ範囲を考えてみるのが有効です。ノートに書き出したり、信頼できる友人と話し合ったりするのもおすすめです。
具体的な二次的条件の検討
ペット:愛好家にとって譲れない?
ペットの有無は、生活スタイルや感情的な優先度を大きく反映します。
一般社団法人ペットフード協会の「2024年全国犬猫飼育実態調査」によると全国の20歳~69歳の男女のうち約28.6%の世帯がペットを飼育しており、多くの人にとってペットは家族同然です。
しかし、ペットに強い思い入れがない人にとっては、毛や匂い、世話の負担もけして小さいものではありません。
- あなたにとってペットは必須ですか?
- アレルギーや世話の負担は許容できますか?
- 「ペットは家族の一員」か「ペットの世話も家事のひとつ」か、自分と逆の意見を受け入れられますか?
家庭運営:家事の分担はどうする?
家事や家庭運営の役割分担は、価値観の違いが顕著に現れる分野です。
ギャラップ世論調査(2021年)によると、家事分担の不均衡はカップルの不満の主要因の一つです。たとえば、一方が「家事は分担すべき」と考える一方、もう一方が「専業主婦/主夫が担当すべき」と考える場合、摩擦が生じやすいです。
- あなたは家事をどう分担したいですか?
- 状況(収入や忙しさに差があるなど)に応じてどこまで柔軟に対応できますか?
タバコ:健康とライフスタイルの衝突
タバコは健康や生活習慣の大きな分岐点です。
世界保健機関(WHO, 2022年)によると、喫煙は健康リスクだけでなく、家族やパートナーとの関係にも影響を与えます。
- タバコの匂いや健康への懸念はあなたにとって許容範囲ですか?
- 電子タバコだったらどうですか?
- あなたが喫煙者なら、「タバコをやめてほしい」「外で吸ってほしい」と言われたらどう感じますか?
問題解決の姿勢:妥協と対話の意思
対立解決のスタイルは、関係の長続きに欠かせません。
ジョン・ゴットマンの研究(2015年)によると、成功するカップルは問題をオープンに話し合い、互いに歩み寄る姿勢を持っています。たとえば、あなたが「問題はすぐ話し合いたい」タイプなのに、相手が「時間が解決する」と避けるタイプだと、ストレスが溜まるかもしれません。
- 自分と異なる問題解決スタイルの人と暮らせますか?
- 相手が話し合いを避ける場合、長期的な共同生活は可能ですか?
宗教:共有すべき価値観か?
宗教は、日常生活や子育てに深い影響を与え、ピュー研究所(2019年)の調査では、異宗教のカップルは価値観の調整に苦労する場合が多いと報告されています。
- あなたにとって信仰の共有は必須ですか?
- 相手の異なる宗教的習慣を受け入れられますか?
- 子供を望む場合、特定の宗教を子供に教えることについてどう思いますか?
お酒:社交的飲酒から禁酒まで
お酒に対する態度も、関係に影響を与える要素です。
全米アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA, 2021年)のデータによると、過度な飲酒は関係のストレスを増大させます。
- 一緒にお酒を楽しみたいですか?
- 飲み会の頻度に「多すぎる」「少なすぎる」はありますか?
- どの程度の飲酒量から気になりますか?
たとえば、相手が毎晩ワインを飲むことに抵抗を感じますか?
健康と障がい:将来を見据えた計画
健康状態や障がいは、長期的な関係に影響を与える重要な要素です。
厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」によると、18歳以上の成人のうち慢性の病気やケガで通院している人は約35.7%(約3,600万人)です。
- 相手に持病や障がいがある場合、受け入れられますか?
- 将来、自分や相手が大きな怪我や病気をした場合、どんなサポートができますか?
- また、どんなサポートを相手に期待しますか?
譲れない条件をパートナーと話し合う方法
デリケートな話題を切り出すには、ゴットマンの「ソフトスタートアップ」が有効です。
たとえば、「5年後の生活をどうイメージしてる?」とオープンな質問を投げかけ、相手の考えを引き出しましょう。アクティブリスニング(相手の話を遮らず、共感を示す)も重要です。良い悪いなどの判断をせず、どんな価値観であっても尊重する姿勢を持つことで、価値観の違いを建設的に話し合えます。
まとめ:強固な関係の基盤を築く
婚活で理想のパートナーを見つけるには、自分の譲れない条件を明確にし相手と共有することが不可欠です。ペットや家事、タバコ、宗教など、一見小さな違いが、長期的な関係では大きな影響を与えることがあります。
この記事で紹介した質問を参考に、自分の優先事項を振り返ってみてください。そして、パートナーとの対話を通じて、互いの価値観を尊重しつつ、共通の未来を描きましょう。
あなたが今、1つの質問に答えるだけで、将来の心の傷を防げるかもしれません。今日から一歩踏み出して、長続きする関係の基盤を築いてください。
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